昨日行われた、2014年大学入試プロジェクト第一弾「センター試験解いてみた」にて、センター試験の問題解説をして頂いた「Z会」さんから、2014年センター試験の寸評を頂きました。


合わせて、各出演者の解答用紙をこちらで公開しています。

>>各出演者解答用紙

また、より詳細な分析が「Z会東大対策ブログ~Z会から赤門突破~」に掲載中ですので、一緒にご覧ください。



日本史B
形式的には例年通りの出題でした。史・資料や写真も使用され、第6問では手塚治虫の漫画も取り上げられました。難易度としては容易な印象で、高得点勝負になると思われます。落としてほしくないのが、第1問問6と第5問問4の資料問題です。どちらも、問われている事柄の年代を把握していることが前提になるため、年代がわからないと手が出ません。近年の資料問題ではよくあるパターンですので、センター日本史の出題傾向を踏まえた対策が出来ていたか、年代まで含めた正確な知識が身についているかで、差がつくことになったと思います。1つの語句に対して1つの意味、という一問一答的な理解ではなく、関連する場所や人物、史・資料、年代など複数の要素を含めて総合的に理解することを心がけていきましょう!

世界史B
大問4題、小問36問で問題数は例年通りでしたが、出題形式では、4択の正誤文選択問題が大幅に減少し、2つの空欄に適する語の組合せを問うタイプの問題が増加しました。出題分野は戦後史が多かったですが、正誤文選択問題の減少に加えて、全体的に判断に迷うような選択肢が少なかったため、難易度は例年よりも易化したという印象です。第1問の問8の地図問題では、第二次世界大戦後のベルリン分割占領において、ソ連が占領した領域が問われましたが、ドイツとソ連の地図上の位置関係が把握できていれば、解答が可能でした。このように、センター試験の世界史Bでは、地図上の位置把握も含めて知識をフルに活用し、様々な方向から思考することで正解を導くことが求められます。そのためには、まずは教科書レベルの知識をきちんとインプットすること、さらに、センター試験形式の問題に繰り返し取り組んでアウトプットの訓練をすることが大切です!

地理B
大問6題は昨年から変更なし、マーク数は36で、昨年の35から増加しました。出題テーマは概ね例年通りですが、今年度の第2問は「鉱工業」「農牧業」に加え、第三次産業も含めた産業全般からの出題でした。全体としては判定しにくい資料が減り、常識や素直に解ける問題が増えたため、難易度は昨年度よりやや易化しています。とはいえ、例年通り、幅広い分野・地域が扱われ、数多くの資料が出題されています。特に第1問は一見判定が難しい資料が多く(実は基本的な知識で解ける!)、戸惑った人も多いと思います。このようなセンター地理に対応するには、全分野・全地域の基本的知識の習得・理解に努め、日頃から統計資料や地形図などに親しみ、資料読解力を高めることを心掛けましょう!

政経
全体としては平易で、昨年を含めて過去に出題された論点が多く見受けられたことから、過去問を多く解いていた受験生にとってはさほど難解ではなかったと考えられる。他方、一部に資料集などのデータを見ておかなければならないものやそこから類推させる小問や、経済の基本用語に関して視点を変えた出題も見られた。ただ、基本的な用語の理解や問題演習を反復することである程度は対応できたのではないか。小問単位では2つに絞れてもそこから絞るのが難しいと感じるであろう問題が多かった。小問数は長く38で続いてきたが昨年と同数の36、グラフや図表を用いた出題の増加、地図からの出題、計算を要する問題も昨年実施のパターンをおおむね踏襲したということができる。センター政治経済で高得点を狙うには、過去問題を徹底して解くことがまずは必要である。

国語
全体として読解の負担が増加し、時間配分に苦労する。昨年より難化した古文・漢文でペースを乱さず、評論・小説に落ち着いて取り組めたかで差がついただろう。評論は判断の根拠となる範囲を見極めにくい設問もあるが、全体としては標準的。小説の分量は増加したが、設問は例年より取り組みやすい。古文の『源氏物語』では、複雑な設定・人物関係の正確な読解が問われた。曖昧な表現の意図を正しくつかむなど、レベルの高い設問が中心で、苦戦した受験生も多かっただろう。漢文も文章全体の内容理解に関わる設問が中心で、基礎知識だけで対処できる設問が減った。早い時期から単語・文法などの基礎を固め、様々なジャンルの読解演習を重ねることで、出題傾向の変化にも動揺せず対処できる力を養成しておこう。

英語
今年は新形式の問題がいくつか入り驚いた人も多かったかもしれないが、極端に難しい問題はなく、また全体として語数の大幅増加もなかったので、大きな負担増にはならなかっただろう。大きな形式変化のなかった問題でうまく時間短縮をはかれたかが勝負になった。全体として難易度の高い単語は少なく、比較的読みやすい内容の英文が多かった。新傾向の第3問Bは英語力以上に論理力が問われる問題。差がついたとすれば、第4問Bであせらず細かい情報を正しくひろえたかどうか、第6問の問4で根拠をもって誤りの選択肢を消去できたか、といったところだろう。全体的に、段落構造や英文全体の内容把握を問う問題と、細かい情報を読み取らせる問題とがバランスよく出題されていたので、普段から精読と速読の両方を心がけて英文を読むようにしたい。

地学
とにかく分量が多い。その影響もあり、難化。マーク数は例年通り30個だが、たとえば昨年比で、ページ数・選択肢数はともに2割増加。例年の分量ならば、「30分で解いて残りは見直し」だが、今年は見直す余裕のなかった受験生が多いだろう。第1問の固体地球、第2問の岩石・鉱物、第5問の宇宙の問題は、やや細かい知識も問われたが、例年通りの出題。第3問Aの「道路脇に見える地層の問題」は良問。地層について学校で習った人は、今すぐ取り組んでみよう。地層や地質図の問題対策には、とにかく経験が大切だが、この問題は、身近なところにも経験を積むチャンスがあることを教えてくれている。ちなみに、第3問の問2は、①(A)が絶妙なトラップとなっている。第4問Aの気象の問題は、かなりレベルの高い応用問題。苦手な人は、後回しにするのが得策。

生物
今回、ページ数や選択肢数が大幅に増え、知識問題と考察問題の得点比率は4:6程度と、例年に比べ考察問題のウエイトが高くなった(2013年度は得点比63:37)。とはいえ、考察問題は問題文も選択肢も素直で理解しやすいものが多く、知識問題も例年に比べて細かい知識を問われる場面が減っており、受験生にとっては全体的に解答しやすい問題だったと思われる。第5問Bの花芽形成などは実験結果の表がやや複雑に見えるが、結論を表の横に書き込めば、さくさく解き進められるはずである。第3問Bの三遺伝子の連鎖や、第4問Aの耳の構造、第4問Bの神経分泌などは、どれだけ類題演習を重ねたかで明暗が分かれる問題だった。高2生のみなさんは、このような問題が出された際に痛い目を見ないよう、早めに演習を始めてほしい。

物理
分量・難度ともに前年並み。例年通り、定性的な理解を問う問題が多く、計算問題は基本的な立式ができれば、答を得られるものであった。現象の本質をしっかり理解している人は、短時間でも十分に満点を狙えるが、曖昧な理解の人は、得点しづらく時間も足りないという、理解の差が得点差に大きく出る内容である。第3問Aは、ドップラー効果を、ベルトコンベアを用いたモデルで説明する問題。設定に面食らった人もいたかもしれないが、わかやすいモデルである。ドップラー効果が苦手な人は、理解の手助けとして利用してほしい。また、普段から、計算だけではなく現象の理解を心がけよう。第4問Aでは3体の運動を扱った。複数の物体が及ぼし合う力について考える良問であった。Cが取り除かれた後は力がつり合うことに気付けば、問2は計算不要。第4問Cの熱力学の問題は、与えられた記号が多い。どの記号を使って解くかという見極めがカギとなる。

化学
昨年並みの印象。波乱のない穏やかな出題といえる。マーク数も昨年と同じ33個。出題内容も、前年度を踏襲した順序と形式であった。
①計算問題は、「面倒」な印象を受けるものがいくつかあったが、「難しい」わけではない。
②正誤判断問題は、即決できる親切な選択肢が多い。
③典型的な中和滴定曲線以外、グラフ問題がない。
...などの点から、昨年に比べてやや易しいと感じた受験生も多かっただろう。
第1問は満点を目指したい問題。問6の身のまわりの事柄に関する出題は課程が変わっても出題は続くだろう。第2問の問5(電気分解)、第4問(有機)の問3、問6などがやや難しく、時間をとられた受験生が多かったと思われる。
文系志望の高2生は第1問および第2問の問3と問4、理系志望の高2生は第1問と第2問全部に挑戦しておいてほしい。化学の学習で特に重要な「物質量(mol)」の計算を確認しておこう。

数学I・A
昨年と比べると分量が減少し、やや易化した。第2問以外はいずれも詰まりやすいところがあったが、おおむね例年の傾向どおりの出題であった。最もネックになったのは、第4問の場合の数と確率だと思われる。第1問の集合と論理では、具体的に要素を書き出すのが考えやすいが、選択肢が多く、確かめながら解き進めるのが面倒であった。第3問の平面図形では、図形自体はシンプルで考えやすかったが、(3)の線分の長さを比較する問題が特徴的であり、必要な図形量を手際よくピックアップしていく処理力が求められた。次年度は教育課程の変更に伴い出題傾向が大きく変わることが予想されるが、引き続き出題範囲に含まれる分野については、これまでの傾向を踏まえた演習も十分に積んでおこう。

数学II・B
昨年と比べると計算量が増加し、やや難化した。第1問では、2012年度までは中問として三角関数から出題されることが多かったが、2013年度、2014年度はかわりに図形と方程式からの出題となっている。今年のセットの中では、最もネックになったのは第3問の数列だと思われる。はじめに階差数列が与えられるという設定、次々と行われる数列の置き換えに落ち着いて対応することができたかで差がついたと思われる。第4問のベクトルでは、昨年とは異なり空間のベクトルからの出題であったが、立方体を題材にした問題であり、空間ベクトルとしては比較的考えやすいものであった。全体としてはおおむね例年の傾向どおりの出題であり、今年度の数学IAと同様、センター形式の演習の成果が表れやすかっただろう。速く正確に計算する力と、問題の内容を正確に把握して誘導に乗る力を身につけることを意識して演習を進めてほしい。



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