現在はニコニコ動画のバージョン名は(RC2)ですが、1年前にはじめてニコニコ動画のサービスが開始したときには、(仮)というバージョン名がつけられていました。(仮)時代のニコニコ動画は1日のユニークユーザが1000人程度と現在の1000分の1以下でした。

この時代にはまだ弾幕という文化はなく、画面をコメントでうめつくすことはもっぱら荒らし行為としておこなわれていました。
また、アスキーアートを右から左へ流せるように、(仮)時代は、コメントは複数行入力が可能でしたが、荒らし行為につかわれたため、現在にいたるまで使用禁止になってしまいます。

当初は謎のサービスとしてニワンゴもドワンゴも名前を伏せて運営していたため、宣伝はひろゆきのブログや2ちゃんねるでの紹介だけでした。

しかし、スタート直後から評判はよく、毎週、2割から5割ぐらいアクセスが増えていきました。だれかのブログか、わからなくなってしまいましたが、「2007年はじまったばかりですが、2007年を代表するサイトはニコニコ動画になることはとっくの昔にきまっているのです」と絶賛されていて、誉めすぎだろと苦笑したことを覚えていますが、この頃から、ニコニコ動画の潜在的な可能性を見抜いていたのはわれわれではなくユーザのみなさんだったのかもしれません。

この頃のアクセスランキングの上位はすべてひろゆきがアップするか紹介するかした動画でした。それ以外は累計再生数が1000を超えたら大人気動画だったぐらいです。開発ブログもひろゆきのすすめでユーザとの距離を縮めるために、はじめたのですが、まったくコメントがつきませんでした。

いいかげんに、きちんと宣伝をして勝負をかけようと思っていたときに2ちゃんねるの差し押さえ騒動が発生します。
そして便乗しようと、おもちゃのクルマが差し押さえられた動画をひろゆきがアップするとものすごいアクセスでyoutubeのデイリーランキングで全世界2位となりました。 youtubeのコメント欄には米国のyoutubeユーザがなんでこんなくそつまんない動画が2位なんだと文句がいっぱい書いてあります。

ニコニコ動画が世間を騒がした最初の出来事でした。

ちょうどそのあたりに、われわれはニコニコ動画(仮)の実験サービスを終了し、再開の予定は未定ですとブログで発表します。
いままでまったくコメントをつかなかったのに、突然、ブログにサービスをやめないでくれ、せめて再開してほしいと大量のコメントがつきはじめます。

そして1月15日にニコニコ動画(仮)はサービスを終了し、34日間の歴史を残して(仮)時代は終わることになったのでした。