ニコモバ愛の劇場 著:中之人

第5話【神様からのプレゼント】


ミーンミーンミンミンミンミンミーン


外からセミの声が聞こえる。

今日も嫌になるくらいの真夏日だ。レギュラーの皆はきっと今日も汗だくになりながら練習をしていることだろう。


俺も仲間に混じって、グラウンドで思い切りボールを蹴飛ばしたい。だけど、医者の言うことには、サッカーができるようになるまではあと1ヶ月の安静が必要らしい。
タケシはギプスが巻かれた自分の足をまじまじと見て、ため息をついた。


ギプスに書かれた、同級生からの寄せ書きをあらためて読み返してみる。
あいつら、入院当初は物珍しさに連日見舞いにやってきたくせに、最近はとんと音沙汰が無い。


「はぁ...」


タケシはもう一度ため息をついて、携帯を取り出した。
いつも通り、ニコニコ動画モバイルを見て暇つぶしをすることにしたのだ。


au版ニコニコ動画モバイルのことは同級生のサヤカに聞いた。

サヤカはちょっとオタク系の女子で、タケシはバリバリの体育会系の男子だ。まるっきりタイプの違う二人だったが、タケシはサヤカのほんわかした雰囲気に惹かれていた。


...正直言って、ニコニコ動画のランキングに載っているような動画はタケシにとって意味のわからないものも多い。
だけど、サヤカとの話題の種が少しでもできるならば、と、タケシは一生懸命ニコニコを勉強しているのだった。


待ち受けもプレミアム会員限定の壁紙に変えてしまった。

ke-tai.JPG

カチカチカチカチカチ...。カチカチカチ...。

ボタンを連打する音は、深夜まで病院に響いていた。


...1ヶ月後、学校のグラウンドには、練習に精を出すタケシの姿があった。


タケシはもともとディフェンダーだったのだが、握力の強さを買われて、今ではゴールキーパーとなって復帰していた。
深夜まで携帯のボタンを連打していたのが功を奏したのだろうか...。

そして、タケシがもう一つ手に入れたものがある。


「タケシくーん!! がんばってー!!!」


ベンチから、サヤカが声を張り上げてタケシを応援していた。タケシは手を振って、それに応える。


タケシも今ではサヤカと同じく、すっかり「ニコ厨」になった。今日は練習が終わったら、サヤカとカラオケデート(ニコニコ系楽曲限定)に行く予定だ。

もちろん、サヤカとはあの待ち受けもお揃いだ。


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